ウイスキーの説明でよく見かける「スモーキー」という言葉。焚き火や燻製のような、煙を思わせる香りのことです。好きな人にはたまらない魅力ですが、「なぜウイスキーから煙の香りがするの?」と不思議に思う方も多いでしょう。
この記事では、スモーキーな香りの正体である**ピート(泥炭)**の話から、スモーキーさの目安、初心者向けの選び方と飲み方までを紹介します。
スモーキーな香りの正体は「ピート」
スモーキーな香りのもとは、ピート(泥炭)です。ピートとは、湿地に生えるミズゴケなどの植物が、完全に分解されないまま長い年月をかけて積み重なってできた、泥のような燃料です。できるまでに数千年かかるともいわれます。
スコットランドなどでは、昔から燃料として使われてきました。
ピートがウイスキーに香りをつけるしくみ
ウイスキー(モルトウイスキー)は、発芽させた大麦=麦芽(モルト)から造ります。麦芽は、発芽を止めるために乾燥させる必要があり、このときピートを焚いた煙で乾燥させると、スモーキーな香りがつきます。
- 大麦を水に浸して発芽させる
- キルン(乾燥塔)で、下からピートを焚いて乾燥させる
- ピートの煙に含まれるフェノール類という香りの成分が、湿った麦芽にくっつく
- その麦芽から造ったウイスキーに、スモーキーな香りが残る
ピートを使わず、熱風だけで乾燥させた麦芽からは、スモーキーではないウイスキーができます。これを「ノンピート」と呼びます。
スモーキーさの目安「フェノール値(ppm)」
スモーキーさの強さを表す目安として、**フェノール値(ppm)**が使われることがあります。麦芽にどれだけピート由来のフェノール類がついたかを、100万分の1単位で表したものです。数字が大きいほど、強くピートを効かせた麦芽です。
ただし、ここで示されるのは多くの場合「麦芽の段階の数値」です。仕込みや蒸溜の過程でフェノール類は減っていくので、できあがったウイスキーの香りの強さとは必ずしも一致しません。蒸溜のしかたや熟成の長さによっても、スモークの感じ方は大きく変わります。
アイラモルトが「薬品っぽい」理由
スモーキーなウイスキーの聖地といえば、スコットランドのアイラ島です。ラフロイグやアードベッグ、ラガヴーリンなど、強烈なスモークで知られる蒸溜所が集まっています。
アイラのスモーキーなウイスキーは、煙だけでなくヨード(薬品)や海藻、潮の香りを感じるのが特徴です。アイラ島のピートは、海に近い環境でできたため、海藻などを含み、海を思わせる個性を持つとされています。海辺で熟成されることも、潮の香りにつながっているといわれます。
スモーキーさ別のおすすめ銘柄
当サイトのスモーキーさの評価(5段階)をもとに、強さ別に分けました。
| スモーキーさ | 銘柄 | 特徴 |
|---|---|---|
| ★★(ほのか) | 白州 | 若葉のような爽やかさに、ほのかなスモーク |
| ★★(ほのか) | ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年 | キャラメルの甘さに穏やかなスモーク |
| ★★★(穏やか) | ボウモア 12年 | はちみつレモンのような甘さと、穏やかなスモーク |
| ★★★(穏やか) | アードモア レガシー | はちみつの甘さに寄り添うスモーク |
| ★★★(穏やか) | シングルモルト余市 | 果実香と、力強いピートの香ばしさ |
| ★★★★(しっかり) | カリラ 12年 | アイラの中では軽やか。スモークと柑橘 |
| ★★★★(しっかり) | タリスカー 10年 | 潮の香りとスモーク、黒胡椒のスパイス |
| ★★★★★(強烈) | ラフロイグ 10年 | 薬品香と潮気が際立つ |
| ★★★★★(強烈) | アードベッグ TEN | 濃厚なピートに柑橘と甘さ |
| ★★★★★(強烈) | ラガヴーリン 16年 | 重厚なスモークとドライフルーツの甘さ |
初心者向けの選び方
ステップ1:ほのかなスモークから
いきなり強烈なアイラモルトを飲むと、「消毒液みたい」と驚いてしまうかもしれません。まずは白州やジョニーウォーカー ブラックラベルなど、ほのかなスモークのものから試してみましょう。
ステップ2:穏やかなアイラへ
スモークが心地よく感じられたら、ボウモア 12年やカリラ 12年など、アイラの中でも穏やかなものへ進みます。
ステップ3:強烈なアイラへ
さらに深みを求めるなら、ラフロイグ、アードベッグ、ラガヴーリンへ。強烈なスモークの奥にある甘さや果実味に気づくと、一気にハマる方も多いはずです。
スモーキーなウイスキーのおすすめの飲み方
ハイボール
スモーキーなウイスキーは、ハイボールにすると驚くほど爽やかになります。煙の香りが炭酸で軽やかに広がり、強烈なアイラモルトも飲みやすくなります。初めての方にいちばんおすすめの飲み方です。
ストレート+数滴の加水
慣れてきたら、ストレートに数滴の水を加えてみてください。香りが開き、スモークの奥に隠れた甘さや果実の香りが見えてきます。
合う料理
生牡蠣やスモークサーモン、燻製チーズ、ブルーチーズなど、潮気や燻香のある料理とよく合います。
ほかの銘柄はスモーキーなウイスキー、スモーキーなハイボール、アイラウイスキーのまとめページで紹介しています。
まとめ
スモーキーなウイスキーの香りの正体は、麦芽を乾燥させるときに焚くピート(泥炭)の煙です。アイラ島のウイスキーは、そこに海を思わせるヨードや潮の香りが加わります。初めての方はほのかなスモークのものから、ハイボールで試すのがおすすめ。少しずつ強いものへ進んで、自分好みのスモーキーさを見つけてみてください。