「山崎」と「白州」は、どちらもサントリーが造るジャパニーズ・シングルモルトウイスキーです。ボトルの形も価格帯も近いため、「結局なにが違うの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、山崎は「甘く華やか」、白州は「爽やかで軽快、ほのかにスモーキー」。同じメーカーでも、蒸溜所の場所と造り方が違うため、味わいの方向性ははっきり分かれます。この記事では、2本の違いを味わい・蒸溜所・飲み方・価格の順に比べ、どちらを選べばよいかの目安を紹介します。
ひと目でわかる山崎と白州の違い
| 山崎 | 白州 | |
|---|---|---|
| 種類 | シングルモルト(日本) | シングルモルト(日本) |
| 蒸溜所 | 山崎蒸溜所(大阪府島本町) | 白州蒸溜所(山梨県北杜市) |
| 蒸溜所の誕生 | 1923年に建設開始 | 1973年 |
| 香り | いちごやさくらんぼのような甘く華やかな香り | 若葉や青りんご、ミントのようなみずみずしい香り |
| 味わい | 甘くなめらか、ミズナラ樽の香り | 爽やかで軽快、キレが良い |
| スモーキーさ | ほとんどない | ほのかに感じる |
| 度数 | 43% | 43% |
| 向く飲み方 | ハイボール、水割り、ストレート | ハイボール(ミントを添えても) |
ひとことで言えば、デザートのような甘さと華やかさを楽しみたいなら山崎、食事に合わせてすっきり飲みたいなら白州です。
味わいの違い
山崎:甘く華やかで、なめらか
ノンエイジ(熟成年数の表記がないもの)の山崎は、ワイン樽で貯蔵したモルト原酒を使い、ミズナラ樽(日本のオークでつくった樽)で貯蔵した原酒などを合わせて造られています。
- 香り: いちごやさくらんぼを思わせる甘く華やかな香りに、やわらかな樽香
- 味わい: 甘くなめらか。熟した果実とバニラ、ほのかなミズナラの香り
- 余韻: やさしく、甘さと上品な樽香が続く
スモーキーさはほとんどなく、ウイスキーに慣れていない方でも飲みやすい味わいです。
白州:爽やかで軽快、ほのかなスモーク
白州は、軽くピート(泥炭)を焚いた「ライトリーピーテッドモルト」と、さまざまな原酒を合わせて造られています。ピートとは、麦芽を乾燥させるときに焚く泥炭のことで、燻製のようなスモーキーな香りのもとになります。
- 香り: 森の若葉のようなみずみずしさに、青りんごやミント、ほのかなスモーク
- 味わい: 爽やかで軽快。やわらかな甘さと果実味に、軽いスモーク
- 余韻: キレがよく、すっきりと消えていく
スモーキーといっても、アイラ島のウイスキーのような強い煙の香りではなく、あくまで「ほのか」です。燻製の香りが苦手な方でも、多くの場合は気にならない程度でしょう。
蒸溜所と造り方の違い
味わいの違いは、蒸溜所の環境と造り方の違いから生まれています。
山崎蒸溜所:3つの川が合流する、日本初のモルトウイスキー蒸溜所
山崎蒸溜所は、大阪府と京都府の境、桂川・宇治川・木津川の3つの川が合流する地にあります。1923年にサントリーの創業者・鳥井信治郎が建設を始めた、日本で最初の本格的なモルトウイスキー蒸溜所です。
山崎蒸溜所の特長は、多彩な原酒の造り分けです。
- 発酵では、木桶の発酵槽とステンレスの発酵槽を使い分ける
- 蒸溜では、形や大きさの異なる蒸溜釜(ポットスチル)を使い分け、加熱方法も直火と間接(蒸気)の両方がある
- 貯蔵では、ワイン樽やミズナラ樽など、さまざまな樽を使い分ける
こうして造られたタイプの違う原酒を組み合わせることで、山崎の重層的で華やかな味わいが生まれます。
白州蒸溜所:南アルプスのふもと、「森の蒸溜所」
白州蒸溜所は、山梨県北杜市、南アルプス・甲斐駒ヶ岳のふもと、標高約700mの森の中に1973年に開かれました。豊かな森に囲まれていることから「森の蒸溜所」と呼ばれています。
- 仕込み水は、南アルプスに降った雨や雪が約20年かけて花崗岩層をくぐり抜けた天然水
- 発酵には木桶の発酵槽が使われ、木桶に棲みつく乳酸菌の働きも、白州らしい香味に関わっているとされる
- 軽くピートを焚いた麦芽の原酒が、ほのかなスモーキーさを生む
冷涼な森の環境と、ピートを軽く効かせた原酒が、白州の爽やかで軽快な味わいにつながっています。
おすすめの飲み方の違い
どちらもハイボールで人気がありますが、得意な飲み方には少し違いがあります。
山崎:ハイボールも、水割りやストレートも
山崎の華やかな香りは、ハイボールや水割りにしても失われにくいのが魅力です。ストレートや少量の加水(数滴の水を加える飲み方)では、ワイン樽由来の果実の香りとミズナラの香りをじっくり楽しめます。
和食全般、特に白身魚や天ぷら、果物を使ったデザートと合わせるのもおすすめです。
白州:ミントを添えたハイボールが定番
白州の爽やかな香りは、ハイボールで一番生きると言われます。サントリーは、ミントの葉を添えた「森香るハイボール」という飲み方を提案しています。
すっきりした飲み口なので、天ぷらや塩味の焼き鳥、香草を使ったサラダなど、食事と合わせやすいのも白州の良さです。
ハイボールに向く銘柄をほかにも探したい方は、ジャパニーズウイスキーのハイボール向き銘柄のまとめページも参考にしてください。
12年になると何が変わる?
山崎と白州には、どちらも熟成年数を表記した「12年」があります。ノンエイジ品との違いを簡単にまとめます。
| 山崎12年 | 白州12年 | |
|---|---|---|
| 香り | 柿や桃のような熟した果実、バニラ、はちみつ | 若葉やミントの爽やかさに、洋梨や青りんご |
| 味わい | なめらかで厚みがあり、オークの香ばしさ | フルーティーでコクがあり、甘いスモーク |
| 向く飲み方 | ストレート、少量の加水、ロック、水割り | ハイボール、ストレート、水割り |
- 山崎12年は、ノンエイジ品よりも甘さと厚みが増し、熟した果実やはちみつのような香りが際立ちます。1984年に誕生したシングルモルト「山崎」の中心となる銘柄で、2024年には国際的な酒類コンペティション「ISC」で、全部門の最高賞「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞しました
- 白州12年は、酒齢12年以上のモルト原酒から造られ、爽やかさはそのままに果実味とコクが加わります。スモークもノンエイジ品より甘くやわらかな印象です
どちらも、ノンエイジ品よりストレートでゆっくり味わうのに向いた銘柄です。ただし人気が高く、時期によっては店頭で見つけにくいことがあります。
参考価格
| 銘柄 | 容量 | 参考価格(税込) |
|---|---|---|
| 山崎 | 700ml | 約8,300円 |
| 白州 | 700ml | 約8,300円 |
| 山崎12年 | 700ml | 約17,600円 |
| 白州12年 | 700ml | 約17,600円 |
価格は2026年10月時点の参考価格(メーカー希望小売価格、税込)です。2026年4月出荷分からの価格改定後の価格で、販売店や時期により異なります。品薄のため、店頭や通販ではこれより高く売られていることがあります。
ノンエイジ品どうし、12年どうしは、希望小売価格が同じです。価格ではなく、味わいの好みで選べるのが山崎と白州の比べやすいところです。
どちらを選ぶ?迷ったときの目安
| こんな方には | おすすめ |
|---|---|
| 甘く華やかな香りが好き | 山崎 |
| すっきり爽やかな味が好き | 白州 |
| ほのかなスモーキーさを試してみたい | 白州 |
| 食事と一緒にハイボールで飲みたい | 白州 |
| 水割りやストレートでも楽しみたい | 山崎 |
| 特別な日にストレートで味わいたい | 山崎12年 / 白州12年 |
まずは両方をハイボールで飲み比べてみるのもおすすめです。バーで1杯ずつ頼めば、香りの違いがよく分かります。ほかのジャパニーズウイスキーも見たい方は、ジャパニーズウイスキーのまとめページもご覧ください。
まとめ
- 山崎: 大阪の山崎蒸溜所で、多彩な原酒を造り分けて生まれる、甘く華やかなシングルモルト
- 白州: 山梨の「森の蒸溜所」で生まれる、爽やかで軽快、ほのかにスモーキーなシングルモルト
- どちらも度数43%で、希望小売価格も同じ。選ぶ基準は「甘さと華やかさ」か「爽やかさとキレ」か
同じサントリーのシングルモルトでも、山崎と白州は個性がはっきり違います。好みの方向性に合わせて、ぜひ選んでみてください。お酒は20歳になってから、ほどほどに楽しみましょう。